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はないたちの夜外伝  TAG

1 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/06(水) 01:38:30 ID:klJJDeE3
このスレッドはおいらロビー板にある
【はないたちの夜〜げろっぱのなく頃に〜】
というスレに投下される小説の外伝小説スレです。

お気楽にご利用下さい。


この物語はフィクションです。

2 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/06(水) 01:40:23 ID:???
関連スレ
はないたちの夜page5
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/bobby/1215185986/

はないたち ダベり場喫茶楽屋裏
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/bobby/1202659208/


まとめwiki
ttp://www19.atwiki.jp/hanaitachi/

3 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/06(水) 01:44:30 ID:???
序章



2007年 夏 ────────。




「暑いなァ…」 太陽がこれでもかと気合いを入れている。



茹だるような暑さ。飽きもせずに毎日毎日ご苦労さま。 でもたまにはちょっと加減して欲しいな。
もう少しでお昼。そろそろ一番暑くなる時間帯だ。
私は少し迷ったけどエアコンのスイッチに手を伸ばす事にした。

 「ごめんね携帯」

不在の家主に小さくお詫びすると、エアコンの設定を「強」にした。
たかだか部屋掃除くらいで、普段あまり使わないこの家の電気代を引き上げるのは少し
心苦しかったのだ。

それにしても今月は掃除ばかりしている気がする。

こないだは東京の事務所のホコリを一網打尽にしたし、その前は引っ越す前に住んでいた
アパートを隅から隅までピカピカにした。
事務所はまだ最近構えたばかりだから簡単なお掃除で済んだけど、アパートの方は細かいところを
確認したらそれはもう言葉が出ないくらいの汚れ方だった。ふたりで生活するようになってから
いつも清潔にしていたと思っていた私が甘かった。大家さんに見つかったら敷金だか礼金だかを
二重に上乗せして請求されるに違いない。まさしく二重の極みだ。

4 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/06(水) 01:46:11 ID:???
私の名前はラチルメチル。


ここは私たちの故郷、肝禿村。そして私が今せっせと掃除に明け暮れているこの家が、私と
か、かっ・・・・・・彼・・・・の・・・・自宅。。。。
自宅という言い方は正しくないな。今は生活の殆どを事務所とアパートで過ごしているし、
ここはあまり立ち寄る事も少ない。元々、アパートが手狭になったので引っ越すつもりで
この家を建てたのだけれど、結局は生活しやすかったり、お互いの仕事の関係もあってか、
ここはもう別荘みたいな存在になっている。

彼の仕事は・・・なんて言っていいか、上手く言えないけど、『大別すると探偵』だ。
初めの頃は全く仕事をしているようにも見えなかったけど、ああ見えて中々忙しいみたい。
なんでも、「世界中の警察を動かせる」ほどの力があるとか無いとかって誰かが言っていた。
普段の彼からは想像もつかないけれども。

今は厄介な事件を抱え込んだと言ってなかなか一緒に過ごす時間が取れないでいるので、
仕方なしにこうしてヒマ潰しも兼ねてお掃除に来たところなのだ。

 「そもそも、ふたりでゆっくり過ごせる空間がゴニョゴニョとか言ってたクセに放置し過ぎよ」

傍から観ればこの家は豪邸の部類に入るのだろうか。
この田舎だとやはり目立つ建物なのかも知れない。でも、所謂お金持ちの豪邸とはちょっと
違っていて、大金をかけたこの家はその資金の殆どがセキュリティに投資されている。
一緒に暮らし始めていつの間にかこういった部分に物凄く気を遣うようになっていた。
窓やガラス戸は防弾仕様。柱や骨格には木材は一切使われておらず、壁は当然最高級の防火仕様。
サイディングボードはライフルを撃ち込まれても貫通する事は出来ないらしい。
極めつけは、侵入者があると24時間対応で5分以内に自警団が駆けつけてくるシステム。
その自警団の会社は彼名義・・・・。

5 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/06(水) 01:47:02 ID:???
やりすぎ。



呆れかえるレベルじゃねーぞと問い詰めたが本人ははぐらかしてばかりでまともに取り合おう
とはしない。これじゃあまるで一国のVIP扱いだ。・・・ん? 待てよ。彼にとって私はその、
一国の・・・ああああもう!そんな話じゃなくて!



ただ、彼の気持ちも分かる。


今からちょうど一年前、あんな凄惨な事件があったのだもの。

なるべく思い出さないように努めてるけど、それはやっぱり無理。あの日以来、良くも悪くも
自分の人生が一変したのだから。

昔から私は特別な力があった。それは、人の死期が見えてしまうチカラ。
このチカラを何度呪ったか分からない。でも、更に呪われたあの事件のせいで・・・。
あれほど多くの人の死に触れてしまった私は、それまで『見』えていた人の死が全く分からなく
なってしまった。彼はそれを良いことだという。私には分からない。
でも、あの事件は解決した。あんなに多くの血が流れた事件はもう二度と見ることはない。
例え、時たま悪夢に苛まれようとしても。

振り払うようにため息をつくと、私は小休止にテレビを点けてソファに座り込んだ。
部屋の気温が快適な温度まで下がってきている。

6 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/06(水) 01:48:30 ID:???
あの事件以来、至って平和な毎日が続いているが、それは私の周りだけの話。
闇の組織である、華鼬が崩壊したというのに、平和になるばかりか行き場を無くした残党が
事件を起こしているのではないかとさえ思う。
相変わらず凶悪な事件は後を絶たないし、その代名詞ともいえる、もう10年以上も女性を
殺し続けているキリサキマサキは相変わらず捕まっていない。

 「では次のニュースです。またしても都内でボマーが現れました。警察の発表によると
  犠牲者の数はこれで10人を超え、現在身元の確認が・・・・・」

胸が苦しくなった。
まただ。またこいつだ。

ここ最近、世間のニュースをキリサキマサキ以上に集めている、連続爆弾魔だ。
3ヶ月ほど前から、東京都周辺で活動している凶悪犯。通称、“ボマー”。
何故こう呼ばれるようになったかと言うと、最初の爆発事件の際、警視庁に送りつけられた
手紙に自分をこう呼ぶよう、記されてあったという。
警察の人間である、同級生の鬱井に聞いた話だから半信半疑だけれども。
ただ、鬱井の話によれば、まるで神出鬼没、冷静沈着で証拠品等、捜査の手がかりになるような
ものは何一つ残っていないのだという。
一度、携帯にこの犯人について質問した事があるが、彼は『これだけ派手にやって捕まらない
はずがない。時間の問題だろう』と一蹴された。それもそうだと思う。それでも、許せない。
早く捕まっちゃえばいいのに。

テレビの場面が被害現場を映し出そうとしている。
私はこれ以上見ていたくない。さ、気分を変えて掃除だと立ち上がった瞬間、携帯電話のベルが
鳴り響いた。

「あ、KIRA?」

先ほど紹介した、頼りない刑事と違ってこちらはエリート警視のKIRA。彼もまた同級生だ。
去年の事件は彼が居なかったらもっと多くの犠牲が出ていたのかもしれない。
いつだって、いち早く真実に辿り着いて私たちをリードしてくれる、とても頼もしい人物だ。

7 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/06(水) 01:50:17 ID:???
 「ラチメチか。急にすまない」
 「うん。どうしたの?珍しいね」
 「携帯は一緒か? あいつはなかなか繋がらないから先に君にかけたのだが」
 「んーん。ひとり。あ、ちょっと待って」

キャッチホンが入った。なんと鬱井からだ。

 「今鬱井からキャッチ入ったよ。仲良いね!ふふ」

冗談めかしたのだが、KIRAの様子がおかしい。

 「落ち着いて聞いてくれ。実は・・・・」

えっ?
聴こえないよ。もう一度言って、KIRA。

 「だから・・・・・」

何度も確認するが、KIRAはその都度、同じ答えを返してくれる。
背筋が凍る。全身の血が冷たくなっていく。エアコンなんか要らない。エアコン、エアコン
切らないと。寒い。寒いよ。

 「落ち着いて聞いてくれ」

KIRAはもう一度同じ台詞を言った。

 「アンキモがボマーに殺された」

足元に電話が滑り落ちる。立っていられない。

なんということだろう。
まだ終わっていなかったのだ。はないたちの夜は。

8 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/06(水) 01:51:07 ID:???
つづく

9 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/09(土) 01:40:46 ID:???
一章

2007年7月20日。



ゴトリ、と鈍い音がした。

どうやらラチメチが電話を取り落としたようだ。……無理も無いだろう。
一分ほど待ってみたが出る気配が無い。仕方ないので電話を切る。
さすがに心配だ。あとで鬱井にでもかけさせておこう。
受話器を机に置くと、再びここ、警視室内は静寂に包まれた。

信じられないのだろう。僕だって信じたくない。

同級生が死んだ。それもまたしても殺人だ。一年前の悪夢がイヤでも脳裏を大股で跨いでいく。
あの時僕は誓ったはずだった。皆を必ず守ると。
だが、その誓いは果たせずに次から次へと犠牲者を増やしていってしまった。
あの事件は解決した。犯人は特定され、巨大組織を壊滅に追いやり、この街の地下に巣食う
者どもに少なからず衝撃と動揺を与えた。その何割かにとっては致命傷ですらあったはずだ。
だが、自分の同級生がよりによって目の前で殺されていながら何が解決したというのだろう。
殺された彼らは二度と帰ってはこないし、遺族は癒える事の無い深い悲しみを背負って生きていく。
だから僕は、これまで以上にこの街を守っていこうと決心したのではないか。

それがどうだ。またしてもこのザマだ。

ボマーによる爆破殺人はこれで3度目となる。
過去の2件の事件と今回の爆破事件は、現段階の世間の知る情報では同一犯であるとは断定
することは出来ない。初犯後の『自分をボマーと呼ぶように』という警察に対する挑発であるこの
「自己紹介」のインパクトが強すぎて、世間では二度目の爆破は自動的にボマーの仕業なのかと
半ば断定された報道をされていた。今回の3度目の爆破時には、もはやボマー「かも?」などど
表現を濁す事無くその名が連呼されている。

10 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/09(土) 01:42:16 ID:???
ただの模倣犯の可能性を示唆する声も多いが、何の根拠も無いこの断定が実は正解である事は
警察関係者でしか知り得ない事実であった。

今回の爆破を含むその全ての事件においての共通項がある。
詳しく報道すると必ず真似をしようとする輩が後を絶たないため、各報道機関には念を押して
情報規制をかけているが、まず、爆発物の容器は全て消火器が使用されていた事がある。
勿論、鑑識がこれでもかと分析をしているが有力な手がかりは未だに掴めていない。
更に、その消火器のおそらく内部に仕込んだと思われるが、丸く加工されたヒスイ輝石が現場で
見つかっている。こちらも手がかりとしては消火器と同様だ。消火器爆弾は簡易時限式で、
爆破の作動にヒスイが関わっているかどうかは現在調査中だが、可能性は薄いという。

現在は、敏腕と噂のメーフィル課長が担当しているが、進捗状況は、はっきりいって思わしくない。
課長は第一の事件で知人が間接的に被害を被っているらしく、息巻いて捜査にあたっている。
僕も当時他の事件を担当していたため、この事件にに深く関わっていなかった。だが・・・・。

 「ど、どどどどうしようKIRA!?」

鬱井が慌てて部屋に駆け込んできた。

 「言われた連中にかけたけど、携帯とラチメチが繋がらない!まさか・・・・」
 「携帯とラチメチは僕がかけると言っただろう。お前は何を聞いていたんだ。」
 「そ、そうだっけ?あれ?」
 「いいからドアを閉めろ。外に丸聞こえだ」
 「あ、あぁ」

ドタバタとうるさいやつだ。閉めたドアに足を挟んだらしく「ギニャー!」と叫び声が聞こえたが無視する。
ワザとらしく片足を引きずり歩く様も更に無視する。そのまま来客用のソファに着席を命じた。

 「それで、資料は揃ったか」

僕は静かに鬱井に問い質した。

11 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/08/09(土) 01:44:15 ID:???
 

12 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/09(土) 01:44:21 ID:???
 「もう少し時間がかかるらしい。出来次第持ってくるが・・・・。お前本当にこれ担当するの?」
 「そのつもりだ」
 「ふうん」

冷えたお茶を一気に飲み干すと、鬱井はいつに無く真剣な眼差しで僕を見た。
こいつ、こんな表情も出来るのか。
 
 「もうすぐ丁度一年か・・・・・」

鬱井は急に老け込んだような表情になった。ヤツの考えている事は分かる。
今回の事件が去年のあの夜とは無関係であると思いたいのだろう。僕だってそう思いたいし、
今のところボマーと名乗るふざけた殺人狂との因果関係は見つかっていない。
だが、万が一あの事件の続きを何者かが演出しているとしたら・・・・。

僕はまた後悔することになるのだろうか?

 「必ず捕らえる」
 「どんな手段を使っても・・・・か?」
 「そうだ」
 「お前ただでさえ、ここんとこ徹夜続きでロクに寝てないんだろ?」
 「それが何か関係あるのか」
 「だからぁ」

そこで鬱井は一旦言葉を切った。

 「俺にも手伝わせろ。また蚊帳の外だなんて我慢できるか」
 「無論そのつもりだ」
 
鬱井はニィっと気持ち悪い笑顔を浮かべた。自覚していなかったが、僕もどうやら笑顔を
見せてしまったらしい。不覚。

13 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/09(土) 01:47:09 ID:???
 「去年のように大活躍してやるぜ。アンキモの弔い合戦だ! 日本警察の最強タッグの恐ろしさを見せてやる!」
 「・・・・・・・・」

一瞬言葉に詰まってしまうが、珍しくここまでやる気を出している鬱井に水を差しても仕方ない。
あぁ、そうだな。こいつは僕とお前の手で捕らえる。必ずな。

 「いくらなんでも派手に動きすぎだ。手がかりなど今は見えないだけで山ほどあるだろう。
  2週間・・・いや、10日だ。10日以内でケリをつける。弱音を吐いても許さんぞ」

口に出してはそう言った。

 「じゃあ一旦戻るな」

鬱井はそう言うと勇ましく立ち上がり、ドアに向かって歩き出した。

 「あぁ。残りの連絡は僕に任せろ」
 「分かった」

一瞬鬱井が頼もしく見えてしまった。不覚。
「じゃあ」と言って鬱井は颯爽と出て行ったが、その際再びドアに足を挟んだのを僕は見逃さない。
やはりどこまで行っても鬱井は所詮鬱井か。

 「さて、・・・・と」

再び静寂に包まれた室内で僕は電話を手に取った。
使えるものは有益でさえあればなんでも使うべきか。僕は既に暗記してしまったナンバーに電話をかけた。

 「はい、こちらNISスタッフサービスですが」

抑揚の無い声で男が出る。

 「僕だ。イノセンスはいるか?」

14 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/08/09(土) 01:47:57 ID:???
続く

15 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/16(土) 03:22:34 ID:???
2007年7月20日。



 「警視様からお前宛てだ」

電話口を塞ぎながらボスが小声で囁く。
ソファで寝ていた僕は、その体勢のまま慌てて自分の携帯を取り出すとすぐさま電源を入れ、
「共有」ボタンを押して耳にあてた。夜からお天道様が高く昇るまで仕事してやっと眠れたと
思ったらこれだ。

 「イノセンスはいるのか?」

KIRAが同じ質問を繰り返した。「どうする?」とボスが目で訴えてくるが、僕は頭を
振って指で小さく×の字を作った。ボスの口からため息が漏れる。

 「外出中だ。帰りは遅くなると思う」
 「・・・・・そうか」
 「言伝なら承るが」

ボスが再度ため息をつきながら紙とペンを取る。

 「ボマーに心当たりがあるか?」

意外なキーワードに僕は驚いた。

 「・・・・どういう意味だ?」
 「そのままの意味だ。巷で話題の爆弾魔、通称ボマーに心当たりがあるかと聞いた」
 「それは『依頼』か?」

16 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/16(土) 03:26:15 ID:???
ボスが一瞬こちらに顔を向ける。どうでもいいけどなんでそんなに困った顔が似合うのだろう。
この人は前世も来世もきっと苦労人なのだろう。こんな顔ばかりしては、白夜だかなんたらの
ノワの異名が泣くと思うのだが。
僕もボスも、KIRAが居なかったら今頃呑気に大手を振って往来を歩く事は出来ない身分だ。
これは素直に感謝している部分も勿論あるのだが、代わりに無茶な『依頼』が多いのは正直
辟易している。何を差し置いても彼の依頼は優先させなければならないし、無論断る事も出来ない。
何より誤魔化しの効く相手ではないのだ。
勝手な言い分だが、同級生ながらはっきり言って苦手な人である。

 「僕はこれからボマーの事件を担当する。ヤツの狙いは明らかでは無いが、僕はその矢面に
  立つ事になるだろう。これだけ言えば分かるか」
 「・・・・・・・うむ?」

なるほど。すると本気か。
そして我らがボスは愛すべき鈍感、いや鈍漢だ。

 「何か分かったら連絡してくれ。・・・・そこで盗み聞きしている居留守使いにもそう伝えておけ」
 「・・・・・・・」

そういって電話は切れた。

 「バレてるな」
 「だから苦手なんだよ」

僕は電話を折りたたむと再びソファに寝転んだ。

うちの会社で使っている携帯電話は特別製だ。
見た目は普通だが、僕が開発した『電話番号共有システム』は、これが搭載されている電話同士の
通話中にその会話を自分の電話で聞く事が出来るのだ。重要な電話など、僕とボスが同時に情報を
取得出来るよう開発したものだが、まだまだテスト段階で問題点も多い。
完成の暁には高値でKIRAに売り付けようと目論んでいるところだ。

17 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/08/16(土) 03:26:59 ID:???
 

18 :シビア ◆U8nOHRFI0. :2008/08/16(土) 03:27:46 ID:???
デスノネタ

19 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/16(土) 03:28:00 ID:???
 「やれやれ。また『裏依頼』か」

採算の取れ無そうな仕事にボスは訝しげである。
KIRAは通常の仕事の依頼も多いが、時たま真意をボカした電話を入れてくる事がある。
その場合、こちらはKIRAの意に沿うように(と、思われる)動くだけ動き、挙句貰いは
少ないというケースがお決まりであった。その雀の涙は、いけない流れの税金なのか、はたまた
ポケットマネーから出てるのかどうかは怖くて聞けないが、その手の依頼を僕たちはいつしか
『裏依頼』と読んでいた。裏に込められた真意を汲む作業ははっきり言って面倒くさい。
僕らもカタギとはお世辞にも言えない仕事をする事もあるが、今回も危ない橋を渡る事になって
しまうのだろうか。

去年の華鼬の一件以来、KIRAには何かと黒い噂が付いて廻っている。
全ての事件の黒幕だの、同級生を華鼬の生贄にして事件を解決させただの、ネットでは散々な
事を好き勝手に書かれていた。直属のネットポリスが華鼬関連の書き込みは根こそぎ削除を
していたのだが、人の口にそうは上手く戸は立てられない。一部の『華鼬ヲタ』と呼ばれる人種は
次から次へと削除される様にかえって真実味を見出し、自分たちの『推理』を裏付けしていると
息巻いているそうだ。ひどいものは華鼬の頭がKIRAであると言い切る書き込みすらある。
まったくもってアホらしい。

ただ、こうなると、大なり小なりKIRAが立場上仕事がやりにくくなることは間違いない。
今回、彼は最前線で指揮を執るという。世間にそれを公表するか否かは分からないが、仮に
丸々露出したとすれば、ただでさえ何かにつけてやんややんやと言われている昨今で、エリート
警視様がこんな怪しげな会社に、今を時めく『ボマー』捜査の協力要請をかけたなど、一部の
ブン屋なら小躍りしそうなスクープだろう。万が一、それが原因で僕やボスの素性が明らかに
なってしまったら・・・・。
冗談じゃなく、日本がひっくり返るくらいの騒ぎになりそうだ。
これだけのリスクを天秤にかけて尚、うちに情報提供を求めて来ているということは、さては
柄にもなく切羽詰っているのだろうか?

 「それだけ本気なんでしょ」

鈍漢なボスにはこうとだけ言っておいた。

20 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/08/16(土) 03:29:14 ID:???
  

21 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/16(土) 03:30:25 ID:???
 「ふうむ。どう思う?」
 「どうもこうも、とりあえず悪そうな連中の中で爆弾に詳しいやつがいるかどうかとか
  その辺適当にやってればいいんじゃない?どうせ安っすい仕事だし」
 「適当って、そうか・・・。やはりというか、案外というか、結構冷たいヤツだなお前」
 「え? なんでだよ。いつからKIRAとそんな仲に・・・・」
 「なんだテレビ見てないのか?」
 「さっきまで寝てたでしょうが!人を夜通し働かせておいて!」

半日以上世間の情報から隔離されていた僕のために、ボスは無言でテレビを点けてくれた。
冴えないリポーターが早口に何度も事件の概要を連呼している。なるほど、今日も爆破が
あったのか。しかし、この美容室は見覚えが・・・・?

 『犠牲者は、店長のアンキモさんと従業員のメロニアンさんの2名。現在も警察の現場確認作業が
  続いていますが、遺体の損傷が激しく・・・・』

しばらく画面から流れる小汚い音声に耳を傾けていた。
他のチャンネルを幾つも映し出してみたが、どこもかしこもこの事件を放映しているようだった。

なるほど・・・・・。

KIRAの行動が少し理解出来た。思えばボスを飛ばしていきなり僕に用件を伝えようと
している時点で違和感はあったのだ。
改めて電話を見返してみると、仕事中電源を切っていた間にKIRAからの着信が数件入っていた。

 「狙われたのかどうか分からんがな。ひどい事件だ」

ボスが静かに言う。
僕はタバコを取り出したが上手く火が点けられない。10回目ほどの着火でやっと一口吸えた
ところで初めて自分が動揺していることに気付いた。

 『都内に栄転だよ!店長だよ!指名入れてくれたら1割引で請け負うよ?』
 『セコいよ。半額にしろよ』

22 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/08/16(土) 03:31:06 ID:???



23 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/08/16(土) 03:31:27 ID:???
いつだったかこんな会話を交わしたのを覚えている。特に仲良かったわけでもないけど。
アンキモ・・・・そうか・・・・。

 「動くか?」

ボスが短く問う。

 「動くよ」

僕も短く答える。

 「しかし難しいな」

更にボスが答える。
この事件を追おうとするならば、少なからず警察や大衆の目に触れる事になる可能性が高い。
クズな組織の洗い出しなどは当然やるだろうし、警察と僕たちの情報網がリンクしている部分は
広範囲にあるだろう。そいつらとバッティングは勿論、顔すら見られることは望ましくない。
何しろ職務質問されただけでこちらは終わりなのだ。

 「朝組を使うか?」

ボスの言葉に思わず「う〜〜〜ん」と唸ってしまう。
なるべく自分で動きたいのだが、考えれば考えるほど顔の割れている者では状況は厳しいの
かも知れない。あの2人かぁ・・・・。いい案に思えるが、さてどうしようか。

なんにせよ今ならKIRAも話が出来るのだろう。
とりあえずメシ喰って風呂入ってシャンとしてからKIRAに相談してみよう。
僕だってこの事件は解決したい。心からそう思った。


24 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/08/16(土) 03:31:54 ID:???
続く

25 :シビア ◆U8nOHRFI0. :2008/08/16(土) 03:32:33 ID:???
メロニアン!?

26 :シビア ◆U8nOHRFI0. :2008/08/16(土) 03:33:28 ID:???
あれ オワタ
おつかれさまです

27 :イノセンス:2008/08/17(日) 13:17:54 ID:???
キタオレ!
アンキモ即死ww新朝組期待

28 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/02(火) 03:10:38 ID:???
2007年7月20日。



  『連続爆破殺人事件対策本部』


その会議室の入り口には、腰の高さほどの縦長の黒板にこう書かれていた。

時間にはまだ少し早かった。軽く中を覗いてみたがその人数はまばらで、だがそれでも緊張感は
嫌でも伝わってくる。この空気は嫌いじゃない。
この会議で、事件の指揮を僕が引き継ぐ事になる。
正式な手続き等は全て後回しにさせた。そのため、今日は大人数での会議では無く、挨拶代わり
といった内容の会議になる。

鬱井の持ってきた資料のおかげで、会議が始まる前に事件の概要と現在の捜査状況に目を通す事が
出来たのは幸運だった。今日の今日で捜査の指揮権を奪おうというのだから、現捜査チームに遅れを
取る事など許されない。もっとも、僕の一存で決定したわけでなく、三度目の爆破で警察全体が
総力をあげてでもボマーを捕らえるという空気になっていたため、この人事の打診が容易であった。
その波に上手く乗れた事もまた幸運であった。

だが少し焦りすぎただろうか?

こうなると、これから僕は活動に制約が出来るし、ある意味身動きが取れなくなる。
犯人を捕らえるのは当然の事だが、何しろ今回の相手は、去年の事件のように、僕と鬱井とで
動き回って捜査を進めていくというわけにもいかない。捜査員の数は未定だが、初回の動員数は
100名を下る事は無いだろう。

 「おやぁ? 警視、珍しいですな。どうですか一本」

29 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/09/02(火) 03:11:17 ID:???
ほい

30 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/02(火) 03:11:58 ID:???
声をかけてきたのは、今日まで捜査を担当していたメーフィル課長だった。
その言葉で初めてここが喫煙所である事に気付いた。どうやら大分深く考え事をしていたようだ。
メーフィルはベンチに腰を掛けたままこちらにタバコを差し出している。

 「いえ、遠慮しておきます。タバコはやりませんので」

差し出されたタバコを丁重に拒否すると、「残念ですな」と言って胸元にしまう。
相変わらずの太く逞しい腕だった。

 「まだ時間には早いですな。わざわざおいでになられなくとも、皆が集まるまで、エリートの
  警視らしく警視室でお待ちになれれば宜しいのでは? んっふっふ〜」

下卑た笑いが耳と癇を同時に障る。彼は事件の「現」担当者だ。

メーフィル警部は壮年の大ベテランで、経歴・経験は僕とは比較にならぬ大先輩である。
頭は白髪混じり、腹は中年太りで大きく膨らんでいるが体つきは逞しく、いつも捲られた袖から
覗く腕には歴戦の戦士のような古傷が無数についている。朗らかな笑顔と突き刺すような
鋭い眼光を使い分け、自分と、自分の部下の頭と腕と足と、肉体をフルにこき使って事件を
解決する、科学捜査には頼らない、今では古いタイプの刑事だ。
一度睨んだ者は執念深くどこまでも追い続け、最後には必ず捕らえるという。
20年以上も前に、自分の娘が巻き添えで犠牲となった、とある愉快犯の設置した駅構内の
爆弾事件の犯人を担当し、10年這いずり回って追いかけた挙げ句、ついに逮捕した話はもはや
都市伝説と化している。

このやり方でかれこれ何十年、これまで検挙した殺人犯は数知れないのだが、しかし一方で、
頑固で思い込みが強く、容疑者どころかまだ参考人の段階であっても、情け容赦なく責め立てる。
おかげでこれまで幾つものトラブルに見舞われているらしい。
一度、鬱井が彼の『自白』を取るシーンを見たそうだが、どちらが犯罪者なのだか分からなかった
そうだ。そしてそれらは明るみには出ることはない。
そのような危うい一面を知らせる報告は多く、それに伴う根も葉もない噂話は後を絶たない。
敬遠している者も当然多く、心無い者の中にはこのベテラン警部を「老害」と呼ぶ事があるそうだ。

31 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/02(火) 03:12:57 ID:???
僕は狡猾な蛇のようなこの男を決して好いてはいないが、老害とまでは流石に間違っているとは思う。
今のところ僕の中での彼の評価は、それでも「正義漢」なのである。

 「んっん〜。警視はどうお考えですかぁ? このヤマ」

タバコを乱暴に消しながらメーフィルが言う。爽やかな笑顔である。だが、目の奥が笑っていない。

 「今のところまだなんとも言えません。ただ、大掛かりな組織的犯行ではないとは思っています」
 「ほう・・・・? んなるほどねぇ」
 「警察に対する挑戦染みた真似をしてみたり、わざわざ殺しの手段に爆弾などという凶器を
  チョイスしている。こんな目立つ真似は、このご時世どんな組織だってやりません。もっとも
  ヤツの目的がただの人殺しだとも思えませんが」
 「ほうほう」

嬉しそうにアゴを撫でると、

 「私ぁね。これだけ上手い事立ち回ってるんだし、プロの犯行だとは思ってるんですねぇ」
 「なんらかの組織の人物ということでしょうか?」
 「さぁ、その辺は分かりませんがね。でも徒党を組んでいるのでは無いという見解は同意です。
  あるいは、過去に危険組織に属していた人間・・・・」

その時、メーフィルの声を遮るように大声で僕を呼びながら駆け寄ってくる者が居た。鬱井だ。

 「KIRA! お前ここに居たのかよって・・・警部!」
 「おやおやぁ? これはこれは警視のご学友の鬱井くんじゃありませんか」

慌てて敬礼する鬱井に笑顔で手を上げる。鬱井は敬礼の体勢のまま、カチコチの石像のように
その場に硬直していた。
鬱井のような一介の若手巡査にとっては伝説の男である彼は雲の上の存在なのだろう。
同時に畏怖すべき相手でもある。直属の上司の前で堂々と居眠りするほど世間を舐めきっている
この鬱井ですら、彼の前ではこのありさまである。
そんな鬱井にメーフィルが太い腕で優しく直れと制した。

32 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/09/02(火) 03:13:54 ID:???
    

33 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/02(火) 03:14:13 ID:???
 「ひょっとして鬱井くんもこのヤマに? んっふっふ。“あの事件”の隠れた名タッグが
  担当されるのでは心強い事この上ありませんな」
 「は、はい!」
 「まぁまぁそう堅くならずに。それにしても警視、犠牲となった美容師はお気の毒でしたな」
 「ええ。もうお調べのことと思いますが、彼女は僕と鬱井の同級生です」
 「その仇を獲るためにお二人が捜査にあたる。なんとも泣かせる話じゃあないですか」

僕としては明快な皮肉と捉えているのだが、言葉どおりの解釈をしたらしい鬱井は興奮気味に
今回の事件への意気込みを語り始めた。上目遣いでメーフィルがこちらに視線を送る。
その目は決して好意的なものではない。

 「それにしても警視は素晴らしいご友人に恵まれておいでだ。羨ましい事です」
 「いえ・・・・」
 「イザとなれば頼もしい味方となるスペシャリストばかりですねぇ。
  優秀な警察官、カリスマデザイナー、伝説のヴォーカリストや・・・・・・」

メーフィルのトーンが若干変化した。胸の内で鳴る警報に心を身構えさせる。

 「元、犯罪組織の者とか。んっふっふ」

それだけ言うとメーフィルは喫煙所から去っていった。



            ◆


建前上の引継ぎ挨拶が終わり、いよいよ本格的な捜査となる。
会議室を後にして、僕と鬱井は再び警視室にいた。

 「警部と何を話してたんだ?」

34 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/09/02(火) 03:15:26 ID:???
  

35 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/02(火) 03:15:46 ID:???
怪訝そうに鬱井が言う。どうやらなんらかの気配は感じ取ったらしい。
これからメーフィルの視線を気にしなくてはならないというわけでは無いが、下手に勘ぐられるのは
やはりつまらない。

 「イノセンスの事だよな・・・・? まだ訳の分からない噂を気にしているのか・・・」
 「言いたいやつには言わせておけばいい」
 「だって去年の事件、全部お前が仕組んだのだと思ってるんだろ。あんな噂真に受ける
  やついるとは思ってなかったからな」

鬱井の言う噂とは、ネット等で一部囁かれたものだがそれが警察関係者用に改編されたものだ。
中身は、僕がイノセンスと共謀して同級生を餌に華鼬を一網打尽にしたというものである。
九州の動機を知っている人間なら一笑に付すところであるが、ノートの事は警察内部でも上層部しか
知らない。当然メーフィルがそれを知る由も無いのだが、彼はこの噂に関心を持ったらしく、イノセンスの
不自然な一時拘留の件と合わせて、こそこそと僕の周囲を嗅ぎ回っていたようである。

メーフィルは僕を快く思っていない。
それは、去年の一件以来僕にある種の先入観を持ってしまったが故なのか、年配の者によく
見られる、親子ほども離れた年下の若造を上司として扱わなければならないという、俗っぽい
感情に拠るものなのか、はたまた他の要因によるものか、それは分からない。
一応、これから彼を指揮する立場に立つが、表立って逆らうような事はしないだろうが、彼のような
人間が僕の意のままに動くとは思えない。それでも職権を強行し従わせる事は可能だが、そんな事を
したら、下手すれば捜査本部が二分し、対立してしまうだろう。
ややもするとこちら側が少数派であるかもしれない。彼を支持する者は未だに多く存在するのだ。

 「それより、今後はイノセンスとの連絡はしばらく絶っておけ。僕もそうする」
 「え、そこまでするのかよ。まさか傍受されるわけでもないだろ」
 「どこまで本気なのか分からんからな。念のためだ」

そう、些細な面倒事も起こすわけにもいかない。
この事件を解決するにはどうしてもメーフィルの人望が必要だ。彼を慕い、文字通り死兵となって
危険な任務を黙々とこなしてくれる者たちの存在が。

36 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/09/02(火) 03:17:35 ID:???
 

37 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/02(火) 03:17:44 ID:???
 「しかしやりにくいな」
 「・・・・こんな環境の中で捜査にあたることは想定内だ。ただ、情報が集まりにくくなるのは困る」
 「そのうち同級生全員を疑い始めるかもな」
 「笑えん」
 「それにしてもアンキモが狙われたのは偶然なのか?」
 「今考えている線があるにはあるが・・・・・。なんにせよ現場検証が進んでからだ」
 「早く指示をよこせ。このままじゃおちおちニコフとデートも出来やしない」
 「・・・・・・・。」

聞き捨てなら無い台詞を吐いてから、鬱井が再び資料集めのため出て行くのを無言で見送った。
今のところ、これまで計3回の爆破において、それぞれ被害者達に接点は見つかってはいない。
では何故アンキモは死ななければならなかったのか。ただの無差別の犯行なのか、それとも・・・・。

なんにせよ悪夢に苛まれるのはもうごめんだ。
犯人の目的が分からない以上、今後再び元クラスメイト達が狙われないという保障は無い。
打てる手は全て出し惜しみ無く打っておく。僕は電話を取り出しボタンをプッシュした。
彼なら特別マークされていることも無いだろう。いや、マークする事そのものが不可能と
言った方が正しい。本来、一般人は連絡を取ることはおろか、その存在すら知られて居ない。
個人的な番号にかける人間など限られているだろう。あとは上手く繋ればいいのだが。

 「・・・・・はい」

何十回目かのコールで彼は出た。相変わらず寝起きのような、あまりにもやる気の無い声だ。



 「携帯か。KIRAだ」

38 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/09/02(火) 03:18:53 ID:???
続く

39 :シビア ◆U8nOHRFI0. :2008/09/02(火) 03:34:48 ID:???
おつりんこ!

40 : ◆KYuSyUA/K2 :2008/09/02(火) 15:52:02 ID:???
おはようみんな!
せっかく描いたので晒しにきました
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3022.jpg

41 :ニコフ川д゚) ◆nikov2e/PM :2008/09/02(火) 22:48:47 ID:???
誤爆……爆……ボマー……

ボマーって九州じゃね?

42 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/05(金) 00:28:06 ID:???
2007年7月20日。



冷蔵庫から取り出した水を一気にノドに流し込んだ。

夏がいよいよ本気だ。買い替えを再三勧められながらも、ついに今年も頑張らせる事にした
クーラーがさも面倒くさそうに部屋を適温に保っている。
定位置である拾い物の座椅子に辿り着くと、水を持ったまま両膝を抱えるようにして
体を丸めて座った。これは俺のいつもの体勢だ。
視界には、少しずつ飲み残されたまま転がるペットボトルや、カップラーメンの容器が好き勝手に
部屋を占拠している。ペットボトル飲料を最後まで飲まずに少し残すのは昔からの癖だ。
「沢山は要らないが一口だけ飲みたくなった」時のためにこうして取っておくのだ。
冷蔵庫まで新しいボトルを取りに行く手間と無駄な消費を抑える事ができ、まさに一石二鳥。
しかし結果として、このような飲みかけボトルが大量生産されてしまうのだが。
その中の僅かな隙間に今開けたばかりのペットボトルを行儀良く着席させる。

「今寝ているペットボトルは死にボトル、ボトルを立たせている間は生きボトル」

長らく一人暮らしをしている間に俺が作った「俺期限」という賞味期限管理法だ。寝起きであっても、
古い飲み物が瞬時に見分けがつくという優れものである。難点は、一度倒すと死にボトルと見分けが
つかなくなり、たちまち仲間入りしてしまう危険があることだが。
この飲みかけボトルの俺期限は彼女に大反対された。いずれは片づけるつもりだと言っても
聞き入れてくれず、いつもブツブツ言いながら後片付けをしてくれる。自分では、この上無い程
管理しやすく気に入っているのだが。しかし、この部屋もこの間彼女が時間をかけて大掃除を
してくれたはずなのだが、部屋というものは何故、こんなにもすぐに汚れてしまうのだろう。

43 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/09/05(金) 00:28:18 ID:???
     

44 :ニコフ川д゚) ◆nikov2e/PM :2008/09/05(金) 00:32:12 ID:???
看板パワーで執筆速度があがった!

45 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/05(金) 00:32:25 ID:???
彼女と一緒に暮らすようになってから間もなく、俺達は田舎へ引っ越すことにした・・・はずだった。
本来なら広い新居で快適に暮らし、この部屋はとっくに引き払っているはずだったが、なかなか
この部屋との縁が切れずに今ではセカンドハウスのような存在になっている。
だが、このセカンドハウスはいつの間にか重宝しており、仕事とプライベートを繋ぐ俺と彼女の
中継所の役割をしてくれている。
それとも、ただ単にこの部屋が気に入ってしまっただけなのかもしれない。
この部屋には多くの思い出は無いが、大切な俺の時間が集約されている。その過去を、きっと
自分が思っている以上に大切にしているのかも知れない。

ノドの渇きを潤した事に満足した俺は、少し頭のスイッチを切り替えてみることにした。


KIRAの依頼は、どちらかと言うと「お願い」に近かったのではないか。

俺は今日の依頼内容を何度か反芻してみた。それほど彼を詳しく知っているわけではないが、
少なくともちょっとした難題にぶつかった程度で他人の力を借りようとするようなヤワな男では
無いはずだ。よりによって、この状況でこちら側に協力を求めてくるとは・・・・。
何かを焦っているのか、それとも形振り構わずただ事件の解決だけを願っているのか。
後者の方が答えとしてはよりしっくりきそうではある。だが、『しかし余裕が無い』という
言葉を語尾に付け加えるべきだろうか。

状況は大体把握した。察するに、KIRAはこれから窮屈な毎日が始まるのだろう。
メーフィルといえばこの辺では少し名の知られた男である。いかにKIRAといえども、いつもの
調子で軽くあしらえるような者ではない。置かれた状況を考えるといささか気の毒にもなる。

46 :シビア ◆U8nOHRFI0. :2008/09/05(金) 00:37:37 ID:???
ヘェーラロ

47 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/05(金) 00:39:32 ID:???
狡猾で隙が無く、異常にしつこい。本質的にはきっとイヤなやつなのだろう。
直接関わった事は当然無いが、こんな世間から隔離されているような商売をしている俺ですら
その名を聞いた事があるくらいだ。よほどの有名人ということか。
こいつをどうやって指揮するのかはちょっと見てみたい、などと少々底意地の悪い事を考えた。

ともあれ警察側が本気になったのであれば、執ってくる策としては当然人海戦術だろう。
何から手を付けるのかは分からないが、爆破事件というのは実は現場に残る痕跡がかなり多い。
現在の報道では、手がかりが残っていないなどと言われているが、使用した爆弾の欠片から
だけでも相当な情報を得る事が出来るはずである。消火器を使用している事は極秘の情報らしいが、
現場周辺では専らの噂になっているし、まさか鑑識の効かないレベルまで凶器が粉々に吹き飛んでいる
わけでは無いだろう。これほど大きい凶器を設置するにあたり、全く人の目に触れず事を成し遂げると
いうのも考えにくい。この犯人は動きすぎだ。

しかし、肝心の逮捕自体は想像以上に難しい。
なにしろ神出鬼没でどこに現れるか分からない。どれほど人員を割いたとしても街中の消火器
全てを取り締まるわけにもいくまい。KIRAはどう動くつもりなのだろう。その動き次第で
こちらも対応策を考えねばならないし、上手く連携が取れなければズルズルと被害は増すばかりだろう。
この犯人はなんとしても捕らえなければならない。

 「ふう・・・・・」

事件について考えれば考えるほど頭が熱くなってくる。俺にとってはこれは意外な事だった。
どんな事が起きても、常に冷静でいられるはずだったし、そう努めていた。例え親や恋人が
殺されようと眉ひとつ動かさないで見つめられるはずだった。少なくとも、幼い小学生であった
あの頃に、人と深く関わる事はやめ、ウエットな感情は全て捨て去ったはずだった。


48 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/09/05(金) 00:39:44 ID:???
    

49 :ニコフ川д゚) ◆nikov2e/PM :2008/09/05(金) 00:41:02 ID:???
そういえばハンサムさんが主人公視点でかいとる

50 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/05(金) 00:42:08 ID:???
いや・・・・・。マイナスに考えるのはこの際よそう。

まずは全ての現場を見てくるとしよう。今は動かせる人間も限られているし、この目で、足で動くしかない。
ひょっとしたら犯人と運良く出くわすかも知れない。いや・・・・・運悪く、か。
そうと決まれば腹ごしらえだ。簡単にラーメンでいいだろう。彼女には怒られてしまうだろうが、
事件が解決できたらこの部屋を掃除して誤魔化す事にしよう。
そう決めて、お湯を差した途端に彼女の手料理が恋しくなってしまった。


 【カレー作って】


メールはあまり好きじゃないのだが、せっかくお揃いで買い換えた携帯だ。それに、これからあまり
あまり細かくは連絡が取れなくなる。少し気恥ずかしいが、相手ほどじゃないだろう。
この状況では、「こんなことしてないで推理に集中しなさい!」と怒られてしまうかもしれないな。
ごもっともである。

必ずやKIRAよりも先に犯人に辿り着いてみせる。
そしてアンキモ、必ず無念は晴らしてみせる。

51 :おいら名無しさんヽ(´ー`)ノ:2008/09/05(金) 00:42:32 ID:???
続く

52 :シビア ◆U8nOHRFI0. :2008/09/05(金) 00:43:07 ID:???
携帯のくせにいちゃいちゃしやがって

53 :ニコフ川д゚) ◆nikov2e/PM :2008/09/05(金) 00:43:32 ID:???
ボマーは爆破する
KIRAは人海戦術で絨毯爆撃のように捜査する

挟み撃ちの形になるな

54 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/05(金) 00:44:22 ID:???
晴らして じゃなくて 晴らせて じゃね?

55 :ニコフ川д゚) ◆nikov2e/PM :2008/09/05(金) 00:46:38 ID:???
自信がないなら「晴らす」と言い切ったらどうだろう

56 :TAG ◆K.tai/y5Gg :2008/09/05(金) 01:05:03 ID:???
あじわわわせる

57 :外伝書き ◆X2rQHL2B4w :2008/09/05(金) 21:49:52 ID:???
うおおおいっぱい更新キテター
思ったより濃い!!

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